ふと思い出した。私はうる星やつらの藤波竜之介が大好きなことを。それでちょっと考えたことがある。
まず、この記事を読んだ記憶があってこのことを考えついた。『〈らんま1/2〉は革新的トランスジェンダーアニメだったのだろうか?』by Aurora tejeida
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LGBTQ関連のトピックに敏い人や、高橋留美子ファンは目にしたことがあるかもしれない。
ところで、後者ならトランスジェンダーときいて真っ先に思いつく留美子作品キャラがもう一人思い出すはずだ。
俺は女だ~~~!!!!!
そう、らんまより前に連載されていたうる星やつらに出てくる藤波竜之介である。以後竜ちゃんと呼ぶ。
竜ちゃんを知らない人向けに軽く説明すると、竜ちゃんは身体が女性であるが、経営する海の家を継がせたい竜ちゃんの父親によって(竜ちゃんちは父子家庭である)男性として育てられた人間である。父親の「しつけ」は強烈なもので、二次性徴で膨らんだ胸を出来物と呼んで薬を塗ったり、セーラー服を着ることを禁じたりしている。また、竜ちゃんちはとても貧乏で、子供の頃に、父親によって松茸を敵だと思い込まされて、父親に独り占めされたりなど、ハチャメチャな親子のやり取りを繰り広げる。
連載中期のマンネリを救った画期的なキャラの2人‥‥と言われているけど、私は竜ちゃんの親父はどうしても好きになれなかった。
簡単な話、竜ちゃんの親父は、私の大好きな竜ちゃんのゆく道をことごとく邪魔しているようにしか見えなかった。
竜ちゃんはサラシを巻いて胸をおさえ(作中では、クラス内で竜ちゃんの胸はラムの次に大きいことが分かる)、学ランを着て学校に向かう。同じクラスでセーラー服を着ているしのぶ(主人公あたるの元カノ)にときめいたりする。歴代の好きな人はみんな女の人である。そして、俺は女だ!!!と言って父親の手からセーラー服を取り返そうとする。この試みは上手くいかなかった。
荒っぽい言葉を話し、学ランをきて(ウテナの女子用学ランではなく男物の学ラン)、女の人にときめく竜ちゃん。読者から見れば、男みたいな見た目と振る舞い(この振る舞いの中には、女性を好きになることも、時代背景や今でもあるマッチョな考えに基づくと、入るだろう)の人物が、自分は女だと言っているねじれや、その人物が女性の体を持っていることを知っているはずの親がそれを押し切って男だと言い張る強引さをギャグとしてかいていることが分かる。
竜ちゃんは、女性の体を持ち、自分を女性と自認している。竜ちゃんの振る舞いは周りから男っぽいと見られている。父親からは男であることを強制され女性の体を封じられている。
それでも彼女は叫ぶ。
俺は女だーーーー!!!!!(ざばーーーん)
みんなでさけぼう
俺は(任意のアイデンティティ)だーーー!!!!(ざばーーーーーん)